全国中学校体育大会(全中)が2027年度から縮小されることになった。取りやめとなる9競技の中央団体は、様々な対応を検討している。
全中を主催する日本中学校体育連盟は、8日に大会の縮減を明らかにした。22年度に部活動設置率が男女とも20%を切っていた水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール、相撲、スキー、スケート、アイスホッケーが対象となった。
日本体操協会は、新たな体操の全国中学生大会を主催する計画を進めている。
現在、小中高生がレベル別に参加する全日本ジュニア選手権があるが、「採点競技の競技性から、多くの方に見てもらえる大会は大きな役割を持つ。中学生世代の全国大会は必要」とみる。
新体操については「現時点では新設は検討されていない」という。女子は10~15歳、男子は小学4年~中学3年が出る全日本ジュニア選手権がある。
この世代の全国大会が全中以外にない冬季競技も、競技団体としての対応を検討する。
全日本スキー連盟は「中学生日本一を決める大会が無くなることは、目標が無くなることにつながり、強化・普及の両方に大きなマイナス。中学世代で全国大会は必要。その方法はこれからの検討となる」。
日本スケート連盟も「ほとんどの五輪選手は全中を経て育った。大事な大会だと認識している」。全中を固定して開催してきた長野市と協議する方針だ。アイスホッケーは選抜チームの大会のみしかなくなる。日本連盟も「都道府県連盟や関係団体で話し合っていく」としている。
全中以外に、中学世代の既存の全国大会がある競技はどうか。
ハンドボールは学校の部とクラブチームが出られる春の全国中学生選手権や、全国中学生クラブカップが全中以外にある。日本ハンドボール協会は「大会新設、現行大会の拡大などを検討したい」としている。
日本中体連が縮減を進める背景には、少子化で部の設置率が低くなっているほか、部活動の地域移行の推進に伴って地域クラブの大会参入が進み、学校の部の全国大会としての意義が薄れてきたことや、夏季競技の暑熱対策が不可欠なこと、大会運営に関わる教員の負担軽減などがある。
そんな事情に理解を示す団体もある。
日本相撲連盟は「中学校の先生や開催地の負担、勝利至上主義からの脱却傾向などを考慮すれば、取りやめは仕方ない」。全国都道府県中学生選手権があるほか、全国少年選手権では昨年から中学生個人戦も行うなど、全国の舞台がある。「新たに大会を作る予定はなく、今ある大会を魅力あるものに充実させていく」と話す。
ソフトボールは、女子は部活動設置率は19%だが、在籍数が2万5千人を超えることから残されたが、男子が縮減対象。ただ、学校の部とクラブチームが出られる中学生男子大会が夏にあり、日本ソフトボール協会では「いったんはその大会を受け皿とする」方針だ。
一方で、日本水泳連盟は日本中体連が縮減を明らかにした8日に「27年度以降も継続を前提とし、様々な開催方法などについて中体連に質問していた段階」と方針発表への唐突感を表明。「中学生選手にとって、全中は高校進学にあたっての重要なキャリア形成の機会。慎重な検討が必要」との見解を出した。(編集委員・中小路徹)